Sunday, July 08, 2007

オバケ

「ぐすっぐすっ,うぇっうぇっ・・・」
「この子ったらまたメソメソして.オバケでも見たの?」
「・・・うん,怖かったよぅ.」
「ウソよ,そんなのいるわけないでしょ.」
「だって...だってそいつ,すごく背が高くてゆ~らゆ~らしてて,超音波みたいな変な音出すんだ...オバケじゃなかったらエイリアンだよ.」
「それで,そのオバケだかエイリアンがあなたに何かしたの?」
「ぼくを食べようとしたんだ.」
「食べる!?」
「あいつが変な音出して近寄ってきたとき,ぼく,身体がしびれて動けなくなったんだ.そしたらあいつ,身体からツルみたいな触手出して,こっちに向かってにゅ~って伸ばしてくるんだよ.で,それが目の前に来たと思ったら,先っぽがワッて分かれて,ぐにゅぐにゅ動くんだよ~! ぼく,怖くて怖くて逃げようとしたら,それが身体に巻きついてきて,それで,それで...えーん,うえーん!」
「はいはい,もうわかったから泣かないの.パパがいつも言ってるでしょ,男の子は怖くても泣かないんだって.」

そう慰めながら母親は,それがオバケじゃなくてニンゲンという動物であること,触手は気持ち悪いけど慣れなくちゃいけないこと,自分たち犬はみんなそれを克服してきたんだということを,ちょっぴり臆病な息子にどう説明したものかと頭を悩ますのでした.


** まろの告白 **

いや,マジそう思うっすよ.
ペットや家畜の最初の「試練」って,まず人間の手を克服することなんじゃないかって.
だって怖いですよね,身体は動かずに棒みたいなのが自分に向かってぬ~って伸びてくるんだから.
人間ってど-してもまず手を出しちゃうしね.